第3話 :『初戦快勝』
ハガレンジャーの初仕事の対象生物は思いの外でかかった。
しかし動きは鈍い。
その水色の果てしなくゆっくり動く巨大な生きものの形状を解りやすく伝えるならば、『でかいコヨコヨ(FF8)』である。
ハガレンメンバーのだれもが楽勝と思っても無理はなかろう。
が…
「まずは足止めっと」
セリフと同時に小気味よい音を立てて両手をあわせたエドがその手を地面につける。
と、コヨコヨ(仮)を取り囲むようにして河原が変質し、檻が形成されていく。
そのままコヨコヨ(仮)は然したる抵抗も見せずに檻に捉えられた…
「よっしゃ楽しょ…う……えぇぇぇぇっっ!?」
叫んだと同時にひゅんっと何かが飛来する音を聞いてエドはすばやく横に移動した。
その横――さっきまでエドの頭があったあたりを掠めて高速で回転するスパナ…。
「あっぶねーなウインリィ!!」
エドが振り返りながら抗議の声をあげる。が、抗議の内容はまったく聞き入れてもらえない返答が返ってきた。
「ちょっと、手抜いてるんじゃないわよ!」
「誰が手ぇ抜いてるよ!」
「あんたがよ!それくらい楽勝で捕らえなさいよ!」
「無茶言うな!誰がこんなことになるなんて思うんだよッ!?」
「なによ!小さくなるくらい想像しなさいよねー!」
「できるかぼけぇぇぇぇ!!」
エドの絶叫が響き渡る。
そう、コヨコヨ(仮)は、檻に捉えられる直前に縮んだのである。
小学校低学年の子供サイズまで縮んだコヨコヨ(仮)は、そのまま先ほどまでのゆっくりな動きはなんだったのかといいたくなるようなすばやい動きでこちらに向かってくる。
そしてそのままエドに向かって攻撃を繰り出してきた。
「うわっ!」
間一髪で攻撃をかわす。
が、すばやく連続で攻撃を仕掛けてきて反撃の隙を与えられない。
「ちょっ…ちょっとまてぇっ!!」
必死で攻撃をよけるエドを尻目に、残りのメンバーは後ろでのんびりと話している。
「なんで小さくなったとたん動きがすばやくなったんだ?」
「それは先ほどエドワード君が言っていたように、象の動きはゆっくりに見えるという原理のままなのではないでしょうか?」
「大きかったからゆっくりだったのが、小さくなった分比例して早くなったってことですね」
「その早くなった動きに対しておチビさん頑張ってるねぇ…」
「頑張ってるのがわかってるなら手をかせよおまえ等!!」
機械鎧の腕でコヨコヨ(仮)の攻撃を受け止めたエドが叫ぶ。
「あぁ、ごめんなさい忘れてたわ」
あっさりとそういったリザが愛用の銃を構える。
「向こうから攻撃してきた以上、手加減は無用ということね」
言うや否やコヨコヨ(仮)に向かって銃弾が放たれる。
「うわぁっ!」
顔のギリギリを掠めていった銃弾にエドが叫び声をあげる。
「リザさん危ないって!」
「動かないでエドワード君!」
「そんなこと言われても…」
なんかオレ、今日こんな目にばっかあってる気がするよ。
そんなことを考え、ちょっと世を儚んでしまったエド。その横を立て続けに銃弾が飛んでいく。
「ちょっと、エド!なに手ぇ休めてるのよ!」
「うるせーっ!ウインリィ!お前も見てないで戦え!」
「なに馬鹿なこと言ってるの!私が実戦で役に立つわけないでしょ!」
「威張って言うことかよ!」
そんな言い争いをしている間もエドは巧みにコヨコヨ(仮)の攻撃を避けつつ、自らも攻撃を繰り出していく。
だんだんとコヨコヨ(仮)のスピードにも慣れてきたようで、エドの攻撃も少しずつ当たるようになってきた。
と、銃の空になったカートリッジを棄て、新たなものを装填しながらリザが怒鳴った。
「マスタング大佐!いったいいつまで高みの見物を続けるおつもりですか!エンヴィーもです!」
そういえば、ロイとエンヴィー何にもしてないじゃん。
「って怒ってるよ焔の大佐さん?」
エンヴィーはそう言って自分は関係ないような顔をして笑っている。
「しかたないな」
と呟いてロイは発火布で出来た手袋をした右手をポケットから取り出す。
「うわー、私服に白手袋ってかっこ悪いね大佐…」
「……うるさい…」
エンヴィーのヒトコトに他のメンバーが――コヨコヨ(仮)の攻撃を受け止めたエドまでが、ロイに視線を移して同意の頷きをみせたため、少々――否、かなり凹みながらもロイは発火布をかまえる。
「エドワード、下がっていなさい」
コヨコヨ(仮)の傍にいたエドにそう言いエドがコヨコヨ(仮)を一閃して間合いを取ると、パチンとおおよそ手袋をしていたらそんな音は出ないだろうという小気味のいい音をたてて発火布から火花が散る。
その火花が手袋に描かれた錬成陣の力によってコヨコヨ(仮)の周りの酸素と結合し、燃焼、爆発を起こした。
爆風が収まるとそこには焦げて倒れるコヨコヨ(仮)の姿がある。
つまり、一発で勝負がついたということだ。
「…最初からコレ出してくれれば楽だったんじゃ?」
そんなエドの言葉に、ロイはさわやか笑顔を浮かべる。
「真打は最後に登場するものだろう?」
「……」
「そろそろ本当にタイムリミットだよ。とっととその生き物消しちゃわないと」
「あぁ。そうだな。この気絶した生き物に、携帯カメラを向ければいいんだよな?」
「えぇ。そうよ。このサイズなら画面にも納まるでしょう」
「あ、私それやってみたい!」
全員にロイのセリフはまるっと無視された。
そして、ウィンリィがレンズをコヨコヨ(仮)に向けて決定ボタンを押す。
すると、ぴっかーんと眩しいくらいの光がコヨコヨ(仮)を包んだ。
そのまま十数秒…コヨコヨ(仮)が光に吸い込まれるようにして消えていき、あとに残ったのは焼け焦げた河原の地面だけだ。
「おー。ほんとに消えたよ!すごいなコレ!」
エドが感嘆の声をあげる。
「すごいわー。分解したーい!!」
隣でウインリィがちょっと違う意味で萌えっている。キラキラとした瞳は自分が持つ携帯に釘付けだ。そろそろ本当に分解しかねない。エドはウインリィから携帯を取り上げる。
「あー!ちょっと返しなさいよー」
「ダーメ。オマエ本気で分解する気だろ」
「ちょっとくらいいーじゃないの!」
「よくない!」
「なによ、エドのケチ!」
「誰がケチだよ!」
「エドがよ!ケチにケチっていってなにが悪いのよ!」
「んだとぉ!」
「ねー、なんか人が沢山きそうなかんじだけど?」
「うるさい!…って、え?」
低レベルな争いを始めた二人にエンヴィーが割って入った。
「逃げたほうがいいんじゃない?」
「そうね。二人とも痴話げんかは帰ってからにしてくれる?」
「痴話って…」
「こんな豆っことそういう関係に見られるのは屈辱だわー」
「だれが豆だ!!」
「悔しかったら私より背ぇ伸ばしてみなさいよ!」
「上等だオラァ!」
エドが手を合わせてウインリィと対峙する。2ラウンドが始まるかと思ったが、小さくカチャという音が聞こえてエドは動きを止めた。
そう、言わずもがな、音の出所はリザだ。
「だから、帰ってからにしてくれるかしら?」
「「はい」」
エドとウインリィはきれいにはもった。
リザはそれににっこりと微笑むと、隅の方で小さくなっている塊にも声をかけた。
「大佐、いつまで凹んでらっしゃるつもりですか。置いていきますよ」
なんか一人、静かだと思ったら無視されて凹んでいたらしい。きのことか生えている。
ロイはその声に反応してのろのろと動き始めたが、そろそろ本当に車や人が近づいてくる気配がする。
「おい!こらアンタ早くしろよ!」
焦ってエドが呼びかける。そのままロイに近づいて腕をつかんで走り出した。
とりあえずヒーローの存在は秘密らしいので見つかる前に逃げなくてはますいのだ。だってヒーローなのに変身とかしていないし。
TO BE CONTINUED
→4話へ
『自己紹介編』まだ続いています。
というか、なんだかだらだらと長いだけの話になってきたような。
この話に初陣と付ければよかったと後悔。タイトルが決まらない…。
エドとウインリィの掛け合いは楽しいです。
サクサクと進みます。
が、書いてるうちにそればかりになってきてしまったので途中できりました。
なんだろう、大佐が妙に影が薄い感じになってしまいました。
次は頑張れ!
あ、一応次の話で『自己紹介編』は終わると思います。
コヨコヨ(仮)は解らなかったら適当に宇宙人っぽいものを想像していただければ…
2004/10/8
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