LUCKY STRIKE
いったい何の因果だというのだろう…。
確かに今までも上官のウケは悪かった。
今までというか、軍に入った当初からだが…
軍に入ったのは15のときだ。
家は東部の田舎で雑貨屋を営んでいたが、裕福な家庭ではなかった。
さらに兄弟が多く、長男だった自分は自分の食い扶ちを稼ぐためにとっとと働くことにした。
軍人になることにしたのはその歳で働くには軍に入るのが一番手っ取り早かったからだ。
内乱が増えて情勢も不安定になっていたので、身内からは反対されたが、それでもしぶしぶ了解してもらったのはあのイシュバールの内乱が始まる前だったからだろう。
その当時から体格はよいほうで体力にも自信はあったので、入隊試験もまずまずの成績で合格した。
ただ、入隊当時の上官は最悪だったが。
あのクソ少尉…!
そう、悪いのは自分の上官ウケではなくて毎回上官のほうに問題があるのだ。
階級が一兵卒から軍曹に上がるまではあまり時間がかからなかった。イシュバールの内乱が始まってどこもかしこも兵士不足だたためだ。
しかし、何の因果かいつも上官が最悪だ。
なんで自分の上官になる男は上に媚を売ることだとか色を買うことだとかそういうことにしか長けていないのだろうかと思う。おまけに殆どがそのどちらかで自滅している。
金の力で過ぎた権力に手を出そうとして上から潰しにかけられた少尉やら、お気に入りにしていた情婦がテロリストと通じていて情報をだだ漏れにしていた大尉やら、あぁ、上官の色に手を出したアホ大尉なんてのもいたなぁ…。
自滅するような上官に媚びるだとか諂うだとかいうのはアホらしくていつも適当に誤魔化していたが、それが媚び諂うことにも諂われることにも慣れた上官たちには気に食わないらしい。
さらに自分はなぜか下の人間からウケがいい。新兵やら上等兵やらに妙に懐かれる。すると分隊長あたりの間近でそれを見る上官にはそれすらも気に食わないらしい。
同じ小隊の仲間にそれを話すと、そんなに上官運がないのも珍しいと言われた。
そういえばそいつがいた分隊の上官は自分たち下官とも一緒に酒場で酒を飲んだりしていた。
自分も同じ一兵卒で入隊していながら、階級が上がったらとたんに下士官以下をゴミのように扱うとような上官の方が珍しいらしい。
そんなヤツばかりだと思っていたんだが、そうか。やっぱりついてなかったのか自分…。
軍曹になったときはその当時の上官からの嫌がらせで特殊部隊に廻された。
そのころにはイシュバールの内乱も激しさを増して国家錬金術師の投入がささやかれていた頃だったからそちらに廻されなかっただけよしとするべきなのかもしれないが。
それでも西部の国境付近に配された特殊部隊に配属になってからの自分の仕事は内乱で人を屠るのとはなんら変わりは無かったが。
所詮人殺しだ。
さらにとうとうその特殊部隊からも上官が原因で転属させられることになった。
確かに内乱も沈静化して、その分の陣営を西部と南部の国境地帯に配分することで、国境の小競り合いも一時期よりもこちらが圧す形になっている。しかしして争いが無いということは、出世のチャンスもないということで。
内乱で活躍する場を与えられず、かといって自分から何か出世の為に行動を起こしたかといったら賄賂を贈ることくらいというなんとも情けない上官が東の出世頭である青年将校に階級で並ばれたことを好ましく思っていないということは知っていた。
だが、それにしてもまったくどうして自分があのクソ狸の腹いせの為に西から東へ移動になるのだと文句の一つも、いや二つも三つも言ってやりたい。
確かに上官ウケの悪い自分を送れば適度に嫌がらせになるのかもしれないが。
どうしてこんな上官にしかめぐり合えないのか。もうなんていうかこれからの軍人人生もずっとこんななんだろうか自分。
なんだかテンションが下がってしまった初出勤に気合いを入れ直そうと懐からタバコを取り出すが、同僚が餞別だと言ってくれた銘柄にさらにテンションが下がる。
確かに自分の幸運はストライキを起こしていると思う。
……いったいオレが何をした。
LUCKY STRIKEの箱を弄びながら、なんだかちょっと泣きたくなった。
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ハボック祭第一弾。
私の中でハボックの軍人人生は波乱万丈に満ちているようです。
捏造もいいとこです。
ついでに軍の階級やらについても適当です。
15から軍に入れるのかなんて知らない。
さらに、エドが15歳のときにハボックは27歳と推定。
捏造もいいとこですが、この話は捏造に捏造を重ねてさらに続きます。
2005/03/16
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