第1話:『春は出会いの季節です。』前編











めっきり春らしくなって、フレッシャーズ(笑)が街に溢れる季節。


ここにもまた、新たな門出を迎えるモノたちがいた。



彼らの名前は錬金戦隊☆ハガレンジャー。



この世界を異世界からの侵略者たちから守る為立ち上がった、ヒーローである!















なんの変哲も無い、どこにでもあるような喫茶店。

その準備中の看板のかかったドアを開けて、金髪に金目の少年と、
その髪より少し薄い金髪で青い瞳の少女の二人連れが入ってきた。

因みに少女の方が少し背が高く、二人、どことなく雰囲気が似ており、カップルというよりは姉弟といったかんじだ。

 
「よお。エドワードとウィンリィだったかな。お前らが一番だ。 まぁ、その辺に適当に座っとけよ。」
 
そう言って奥のテーブルでくつろいだ様子で雑誌を読んでいた眼鏡の男が自分の近くの椅子を指し示した。

「こんにちは。ヒューズさん。」

ウィンリィと呼ばれた少女は笑顔で挨拶を返しながら示された椅子に腰掛けた。

「ほれ、エドワードもこっちに来てとっとと座れ」

促されて、キョロキョロと周りを見回していたエドワードもウィンリィの隣に腰掛ける。

「なんだ、緊張でもしてるのか?えらく静かじゃねぇか」

そう言われて、エドは初めて口を開いた。

「エドでいーよ。いや、緊張とかじゃなくて、本当にココが司令室なわけ?ただの喫茶店だろう?」

そう、今日から、ココはハガレンジャーの司令室兼防衛本部となるはずである。

ハズであるのだが、エドの言う通り、どう見てもただの喫茶店なのである。

ヒーローの司令室とか、防衛本部と言ったら、もうちょっとこう、
物々しく最新鋭のコンピュータとかに囲まれていてもいいじゃないか、とエドが思っていたとしても仕方がない事と言えよう。
むしろ私もそう思う。

が、ヒューズはエドの思考を知ってか知らずか、

「なに言ってんだ。面接のときもここだっただろう?」

そう聞いてくる。が、エドは不満そうだ。

「それはそうだけどさ、あれは面接だから喫茶店でやるのかな。
と思ったんだよ。それなのに、本部もここなんて。こう、秘密っぽいかんじはないわけ?」

「秘密っぽいねぇ。まぁ、ここの喫茶店は仮の姿だからな、後でみせてやるよ。秘密っぽい防衛本部。
でもとりあえず、他のメンバーが揃ってからだな」

そうヒューズが言うと同時に、ドアの開く音がなった。




「お、ロイ。いいタイミングで来たな。」

本当にいいタイミングというか、話に区切りがつくのを狙ってきたんじゃないかと思うようなタイミングで現れたのは、
ロイと呼ばれた二十代半ばといった雰囲気の黒髪黒目の青年だ。

ヒューズはロイにも近くの席を進め、それぞれを簡単に紹介する。


「エド、ウィンリィ、こいつはオレの昔からの知り合いで、ロイ・マスタング。
因みにブルーだ。
ロイ、こっちはウィンリィ・ロックベルとエドワード・エルリック。イエローとレッド」

紹介されてウィンリィが先に口を開いた。

「はじめましてマスタングさん」


手を差し出すが、無視された。

というか、まったく聞いていないようだ。ロイはそのまま真っ直ぐにエドの前に進むと、エドの手をがしっと掴む。









「結婚してくださいっ!」









………。











「は?」

エドは事態が飲み込めずに聞き返した。

因みに、ウィンリィは自分を無視されたことも忘れて固まっている。

ヒューズはおもしろそうに笑っている。

ことの成り行きを眺めることにしたようだ。

「……何言ってるんだアンタ?」

ノロノロと頭が回転し、反芻すればするほど、意味が解らなくなってエドは混乱していた。

「何ってプロポーズだが?」

必死で言葉を紡ぐエドの混乱した頭は、ロイのあっさりとしたセリフでさらに混乱を極めていく。

「ウィンリィと間違えて…」

「いや、君に言っている」

「え…だってオレ、男だし」

「そんなことは解っている」

「……機械鎧だし…」

「そんなことはどうでもいい」

「…初対面だし」

「会っているよ」

「………オレは、アンタのこと知らないし」

「これから知っていけばいいさ」

「…………。」

エドが一言しゃべるたびに用意されていたかのような速さで返事が返ってくる。

混乱した頭にもこのロイという男がよっぽどの役者でないかぎり、
冗談ではなく大真面目に自分にプロポーズをしているのだとうことがエドにも飲み込めてくる。

が、大真面目であったほうが、どうしたらいいのかわからない。

よっぽど冗談であって欲しいと思いながら、静観を決めているヒューズに助けを求めた。

「ヒューズさん、この人はなんの冗談を言っているわけ?」

「いや、多分そいつは大真面目だと思うぞ」

冗談であって欲しいというエドの淡い期待はあっさりと切り捨てられた。

「じゃぁ、ちょっと頭おかしい?」

「いや、俺もそうだったらいいなぁと思うが、いたってまともだ」

聞いているほうも大概失礼だが、答えるほうも応えるほうだ。

「とてもそうは思えないから聞いてるのに…」

どうしたものかと天井を仰ぐ。








「私も今の大佐は頭がおかしいように思いますが?」


突然新たな声が割り込んだ。

全員いっせいに入り口のほうを振り返る。

と、金髪を後ろでひとつにまとめ、すっきりとした印象のスーツを着こなした、文句無くきれいな女性が立っていた。

「リザさん、アンタいつからソコに?」

ヒューズが尋ねる。

「大佐の『何ってポロポーズだが?』からです」

そんなに早くからいたのか。

ロイのプロポーズが強烈で誰も気づいていなかった。


と、突然ガタンという音が店内に響いた。

エドの手を握ったままだったロイが突然手を離し、後ろにあった椅子ひっかかって転んだ音だ。

そして、そのまま壁ぎわまで後退し、顔は蒼白である。

「ホークアイ中尉!なぜここにっ!」

そのロイの行動と叫びに微塵も動揺を見せず、ホークアイ中尉と呼ばれた女性は笑って答えた。

「大佐こそ、なぜこんなところで突然プロポーズなど?」

「いや。ち、中尉こそなぜこんなところにいるんだ?」

何度か深い呼吸を繰り返してなんとか落ち着きを取り戻した(それでも多少どもっていたが)ロイが尋ねる。

「私ですか?私は転職したんですよ。ヒーローに。ウィンリィちゃんに誘われたんです」


その答えにはエドが驚いて隣の幼なじみを見る。

「知り合いなのか?」

「うん。友達なの。」

ウィンリイが答える。

「中尉ってことは軍人さん?」

その問いにはホークアイ中尉が答えた。

「えぇ。といっても元だけどね。リザ・ホークアイ元中尉。
リザでいいわ。ちなみにソコのマスタング大佐も元軍人よ」

「へぇー。よろしくリザさん」

差し出された手を握り返しながらエドが答える。

「それで、ソコの元大佐さんは何をそんなにびびってるわけ?」

「いや、なんでもないよ。エドワード」

「エドでいーよ。んで、リザさん、この人なにをびびってるわけ?」

「びびってるわけじゃないと思うわ。
プロポーズなんてしているところを元とはいえ部下に見られたらびっくりするでしょう?ね、大佐」

にっこりと最後の台詞はロイに向けてだ。

エドは何故かその笑顔に悪寒を感じた気がしたが、気のせいだと思うことにした。

賢明な判断であろう。






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   後編に続く。  
2004/7/17