第2話 :『初陣』
ぴこーんぴこーんぴこーん…
突然、けたたましい…が
妙に緊張感が無く感じる微妙な音が店内に響き渡った。
「なんの音?」
エドが聞くとヒューズが楽しげに答えた。
「お前らの初仕事の合図だ」
簡潔な説明すぎてとっさに意味が飲み込めない。
「この警報らしき音が仕事の合図なのか?」
ロイがさらに問えば、
「そう。この音は異世界からの扉が開いたときに起こるなんたらっていう電波を受信して鳴ってんだ。
で、この音が鳴るとだな、この店がこういうことになる」
そうヒューズが言った瞬間、店内に設置されているカウンターが横にスライドし、
壁も消えて奥から司令室と呼ぶに相応しい雰囲気の巨大な機械類が現れた。
「うわー、すげぇ」
エドが感嘆の声を上げる。他のメンバーもさすがに驚いた様子だ。
「すげえだろ。ここが司令室だって意味がわかったか?」
「あぁ。こんなことになるなんて思いもよらなかった」
「いったいどういう仕掛けなんだ?」
「それは企業秘密だ」
「すごい、すごーい!でもコレってこの国の技術水準をかなり上回ってる気がするんですけど?」
ウィンリィが訊ねる。
さすが機械オタク。先ほどから目を輝かせて部屋中を見回している。
キラキラと瞳を輝かせている様は可愛いといえばかわいいのだが、
視線の先にあるものが機械類という部分にいささかばかりの寂しさを禁じえない。
「まあな。この部屋には最新技術、さらにその先を行く超最先端の技術の粋を集めてあるらしいからな。
ここに使われている機械類が一般に発表されるのは少なくとも数年後というような代物ばかりだ」
「つまり試験段階だったりするわけですね。これを見られただけでも私、ヒーローになってよかった!」
……。
そんなもんだろうか。
人の好みをとやかく言いたくは無いのだが、
ちょっと年頃の少女の趣味としてはどんなものなのかと思うぞ。
とは、他のメンバーの心の声。
「これはどんな機能がついているんですか?」
「これか?これはだな………で、……………がこうなって…」
「…正面のメインスクリーンは世界中の全ての監視カメラ、軍事衛星などと直結している。
すべての映像をリアルタイムで受信するようになっているんだ。
つまり検索をかければこのスクリーンで見られない場所はない」
ウィンリィと置いてある機械について延々と話していたヒューズの言葉に、
ウィンリィほどではないが興味深げにあたりを見回していた皆もスクリーンに視線を移した。
現在スクリーンにはどこかの河原が中央に映し出され、
『warning』とでかでかと赤い文字が点滅している。
つまりその場所で異世界の扉が開いたということだろう。
…異世界の扉……?
と、そこで皆ようやく現在の状況を思い出した。
「そういえば、仕事だといっていましたね。
つまり敵が出ているのでしょう。こんな悠長にここの説明を聞いていてよいのですか?」
代表してリザがヒューズに尋ねるが、
「あぁ、そういやそうだったな。すっかり忘れてたよ」
忘れてたのか!
そう全員心の中でつっこむが、
よくよく考えたら自分も人のことを言えないということに気づき賢明にも誰も声には出さなかった。
「で、このスクリーンに出ている場所に敵がいるということでしょうか?」
「そうだ。異世界の扉が開いたということは、ここに出現したものがあるということだからな」
言いながらスクリーンを操作して場所の特定と敵の姿の確認をしていく。
「その出現したものにたいして具体的に私たちは何をしたらよいのでしょう?」
今更そんな説明を受けていないで面接があったのならそのときに聞いておけよと思わないでもないのだが、
面接のときは、『秘密だ』といわれたのだ。
一応、重要機密だから仕事として正式に始まるまでは内容を漏らせないということらしいが、
それにしてもこんな今まさに敵が現れている状況で初めて説明しなくてもいいものを。
「まれに、自然と開いてしまった世界の歪に落ちた無機物なんかがこの世界に落ちてきた場合なんかも反応するんだが、
基本的には人為的に扉を開けて入ってくるものに反応する。
この世界を乗っ取ろうとしているのかどうかはそいつ次第なんだが、
まぁ突然異世界からやってきて、
一般的には異世界の存在が認められていないこの世界で好き勝手なことをされちゃかなわないからな。
そいつらを倒してもとの世界にお引取り願うのがお前らの仕事だ」
「お引取り願う…ですか?」
「そう。
ただ、こちらから敵が現れる異世界のほうへ扉をつなぐための装置はすでに開発済みなんだが、
この装置はまだ試験段階なんだよ。
欠陥としては、ある程度の時間、動かずにいなければ作動しないということがあげられる。
つまり、『的が動けなくなる程度に痛めつける』それがお前らの具体的な仕事だな。」
「それは殺しちゃ駄目ってこと?」
今まで黙ってヒューズとリザの会話を聞いていたエンヴィーが訊ねる。
「あぁ。殺しちゃ駄目だ。
自然現象で開いた穴と違って無機物は通せないし、
もし通せたとしても死んでるの送り返したら向こうから何か報復があるかもしれんだろ?」
「あーそっか。でもそれはそれでおもしろいのに」
笑って物騒なことを言うエンヴィーに、
今までは元裏家業の人間だといっても、
そんなに害がある感じじゃないと安心していた面々は少々顔を引きつらせた。
どうやら、認識を改める必要がありそうだ。
「おもしろくないっつーの。
で、ヒューズさん、とりあえず現場に向かえばいいんだろ?その装置とやらはどこにあるわけ?」
エドはとりあえず、物騒な身内のことは横において、当面の仕事をこなすことにしたようだ。
「ああ。そうだな。扉を開く装置はコレだ!」
ヒューズも切り替えが早かった。
取り出した装置は片手に持てるほどのサイズの鏡だ。
「コンパクトですか?」
「そうだ。コレをかざして『テクマクマヤコンテクマクマヤコン』と呪文を唱え……」
ヒューズは最後まで言わせてもらえなかった。
「冗談はいいですからとっとと続きを」
そういうリザの手には一丁の拳銃。
両手を挙げて降伏を示しながら、しかしヒューズはひとこと言わずにおられなかった。
「元ネタを理解している時点で歳がばれるぞリザさん…」
カチャ。
銃の撃鉄を上げて微笑むリザ・ホークアイ。
つまり黙れこのやろうという氷の微笑。
「ま、まぁ冗談はそのくらいにしてだな。本物はこっちだ!」
つまりコンパクト自体がただのネタだったわけだ。
で、リザを怒らせるだけの結果。他のメンバーには意味すらわからなかったらしい。
「携帯電話?」
今度はウインリィが訊ねる。
機械関係への反応はすばやい。
「あぁ、見た目はただの携帯電話だがな。
コレの外側カメラを起動させて対象を映し出してから、このボタンを押すとだな…」
そういってメンバーに焦点を合わせながらそのボタンを押そうとするのでサスガに全員あせる。
「それこそ冗談だ。まぁ現場で実際に押してみてくれ。
そんで画面に収めたまま10秒ちょっと、まあ対象が消えるまで待つ。
それで任務完了だ」
「こんなに小さくできるのに試作段階なんですか?」
やっぱり機械のことは聞かずにいられないらしいウインリィに苦笑して律儀にヒューズが説明する。
「小さくしたからだな。大きけりゃ早く送ることも可能だが、大きいと今度は持ち運べないだろ?」
「あぁそっか」
その説明にウインリィは納得したようにポンと手を打つ。
「さて、少々長くなっちまったが、そろそろ対象のところに向かってくれ」
そのヒューズの言葉で、警報が鳴ってから数十分、やっとハガレンジャーの初出動となった。
「あぁ、因みにこの装置はエド、オマエが持っとけ。
一応スポンサーの意向によるとレッドがリーダーってのが戦隊モノの定石らしいからな」
さて、移動時間はすっぱりきっぱり短縮して異世界の扉発生現場。
その生物を黙認したときのハガレンジャーたちの素直な感想は…
でかっっっ!!!!
だった。
そう、とにかくべらぼうにでかい。ゴジラとかそういう大きさだ。
呆然と見ていて、そういえばとロイが気づく。
「見た目のでかさに驚いていたが、この生き物、動きはのろいな」
「あぁ、そうだな。
人から見たら蟻は早く動いていて象がゆっくり動いて見えるのと同じ原理なんじゃねぇか?」
エドもその指摘に頷く。
「なるほど、それならコレは巨大な動かない的とおなじですね」
リザが銃を構えながら言う。
コレならでかい割には倒すのも簡単そうだ。
問題はどうやって携帯の画面に収めるんだ?
まぁそれは置いておいて…
「そんじゃとっとと倒しちゃおうよ」
「そうよね。いい加減、テレビとか来ちゃいそうだし」
「あぁ。見世物にするわけにはいかないしな」
「我々が見世物になるわけにもな」
「ええ」
全員の意見がとっとと倒してしまおうに一致したところで
エドが先陣を切る。
「よし、そんじゃ自己紹介の続きでもいってみようかっ!」
TO BE CONTINUED
→3話へ
そんなわけで続いています、『自己紹介編』
だらだら長いので、どこかで区切ろうかと悩んだのですが、
上手く切れる場所がなかったのでそのまま。
因みにテクマクマヤコンは解りますよね。
一般常識の範囲ですよね?
因みにリザさんも現役ではなくて再放送の世代だと思います。
因みに次の話は戦闘のはずですが、アクションかけないので、どうしようか悩み中です。
しかも相手は巨大な生物。
ヴィジュアルは決めてないんですが、どんな生き物のイメージですか?(聞くな)
イメージはコヨコヨに決定しました。
というか3話書きかけのまま放置中です。
とっとと書けという催促ください。
追い込まれないとやらないたちなので。
2004/7/17
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